NEWS
トピックス
topics
【プレスリリース】ハイドロキシアパタイト粒子の表面を機能化して次世代医療に貢献 多賀谷 基博 准教授
ハイドロキシアパタイト粒子の表面を機能化して次世代医療に貢献 ~合成と表面の設計によってバイオ・メディカル素材の未来を切り拓く~
概 要
アパタイトはM10(ZO4)6X2で表される鉱物の総称であり、Mにカルシウム(Ca)、Zにリン(P)、Xに水酸基(OH)が入ったものをハイドロキシアパタイト(HAp)と呼び、HApは生体内の骨や歯の無機主成分として知られています。HAp粒子は、体に優しく効率的に骨を再生する機能があるため、骨の欠損部を補填する素材として注目されています。
本学・物質生物系の多賀谷 基博 准教授らのグループでは、HAp粒子の合成と表面修飾の技術を活用して、HAp粒子と様々な機能を持った分子 (機能性分子) を組み合わせて、それぞれが単独では得られない協奏的な機能を発現させる研究を行っています。それによって、「(1)HAp粒子への診断や治療の機能付与」、「(2) 生体との親和性を高めるHAp粒子表面層の解明」、「(3) HAp粒子コーティング技術」を実現してきました。これらの実現によって、医療素材の未来を大きく変え、がん診断・治療や骨修復といった医療の最前線の現場に新たな希望をもたらす可能性があります。
以上に関する粒子の合成と表面機能化についての研究をまとめた総説が、物質生物系の多賀谷 基博 准教授が責任著者、岡山大学 学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の片岡 卓也 助教が筆頭著者、長岡高専のTania Guadalupe Peñaflor Galindo 特任助教 (多賀谷基博 准教授の研究室修了生であり現 上智大学 理工学部 物質生命理工学科 助教) 及び 長岡技術科学大学 大学院工学研究科の山田 伊織 博士後期学生 と 劉 自振 博士後期学生(どちらも多賀谷基博 准教授の研究室学生)が共著者となり、イギリス王立化学会誌 「Journal of Material Chemistry B, 12(28), 6805−6826 (2024)」 で公表されました。
公表された総説論文では、生体内で析出するHApに類似した粒子を体外で合成・機能化して応用する研究内容とそれに関連する技術開発について包括的にまとめています。その概要を図 1 に示します。
論文タイトル:Surface Functionalization of Hydroxyapatite Nanoparticles for Biomedical Applications
掲載雑誌:Journal of Materials Chemistry B
URL:https://doi.org/10.1039/D4TB00551A
詳細は以下のPDFファイルをご覧ください。
https://www.nagaokaut.ac.jp/annai/koho/kisyakaiken/press/R6.files/20241108.pdf
【用語解説】
アパタイト : リン酸カルシウムの一種であり、生体の骨の主成分である。厚生省が認可した生体親和性に優れた 材料でもあり、バイオセラミックスとしてバイオ・メディカル分野で実用されている。