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研究室

システム幹細胞工学研究室

Stem Cell Engineering



スタッフ

  • 准教授

    大沼 清

    システム幹細胞工学研究室

研究内容

ヒトを作る技術の開発: 私達は、ヒトiPS細胞の培養技術とマイクロ加工技術を組み合わせて,ヒトの胎児の体作りを培養皿上に構築する技術の開発をしています。この技術は,胎児
に対する医薬品の安全性試験や,人工子宮の技術などにも繋がります。

 

当研究室は、JKAより研究の補助を受けています(2023M-281)。
JKA研究報告

 

1. ヒトiPS細胞の無血清培地による、胎児にも安全な薬の開発支援

実験試薬を作るのには余分な成分を含まない超純水が必要です。これと同じ発想で、細胞を調べるには、余分な成分を含まない無い培養液(無血清培地)が必要となります。

そこでヒトiPS細胞の無血清培養することで(図1),ヒトの体作りに必要な物質をさがしたり、毒性物質の作用メカニズムを調べたりしています。これまで,強い催奇形性のあるサリドマイドにより,発現が1/100以下に減少する遺伝子を発見しています。

 

図1 ヒトiPS細胞の培養風景

2. 細胞-細胞の間のシグナルの制御により,心筋細胞をつくる

人からのアドバイスにより将来が決まることがあります。細胞も同様で、周囲の細胞が分泌したシグナルにより、将来どの細胞になるかが決まります。

これまでに,細胞自身が抑制シグナルを分泌する“負のフィードバック”により,心筋になり易くなっていることを明らかにしました(図2)。今後は,シグナル分子の移動を制御できるマイクロ流路と組み合わせ,心臓の形作り(パターン形成)の仕組みを明らかにします。

 

図2 ヒトiPS細胞の培養用のマイクロ流路

3. 細胞の移動制御による,形作りの制御

物流システムに問題が発生すると、社会が混乱します。体作りも一緒で、原腸形成(最初におこる細胞の大移動)に問題があると、正常な体のパターンができません。

そこで、ヒトiPS細胞とマイクロパターン技術(図3)により原腸形成の状態を作り,細胞の動きを解析しています。「正常な細胞移動=パターン形成」を培養皿内で再現することで,催奇形性を簡単に見分ける技術を開発します。

 

図3 ヒトiPS細胞のマイクロパターン

4. ゼブラフィッシュで心臓再生,プラナリアで全身再生

ヒトは心筋梗塞を起こすと元通りに再生しませんが,ゼブラフィッシュは心臓が再生します。ヒトとゼブラフィッシュの心筋細胞と比較することで,心臓再生に挑戦しています。更に,体中にiPS細胞に似た細胞をもったプラナリアは,体を2つに切るとそれぞれが再生して2匹になります。このプラナリアの細胞をiPS細胞のように増やすことで,「臓器作り」を超え,「全身作り」に挑戦しています。

 

 

図4 ゼブラフィッシュ(上)とプラナリア(下)

 

動画 心臓再生への挑戦

研究室紹介動画