文字サイズの変更

検索したいキーワードを入力してください

研究室

超分子物性化学研究室

Supramolecular Solid State Chemistry



スタッフ

  • 教授

    今久保 達郎

    超分子物性化学研究室

研究内容

現在の主な研究対象は、電気を流す有機物=有機伝導体です。特に、分子どうしが特徴のある分子間相互作用で結ばれた「超分子」の概念に着目しており、超分子構造を物性の制御にうまく利用して電気伝導性+αの機能を持つユニークな新材料を創成することを目指しています。また、有機伝導体研究で得られたヨウ素に関する知見を活かして、新潟の隠れ名産品である「ヨウ素」の生産とその利用方法に関する基礎研究も行っています。

現代の理工系大学の研究現場では、流行の先端に飛び付いて一時の注目と研究費を集めることが目的となった研究が多くみられます。私たちはその様な刹那的研究からは明確に距離を置き、目的とする結晶構造や電子物性に適した分子を新たにデザインして合成ルートの開発から始める「ゼロからのものづくり」を行っています。

1. 有機伝導体結晶の構造制御法の開発

有機伝導体の電子物性はその結晶構造と表裏一体の関係にあることから、結晶構造を如何に制御していくかが物質設計の鍵を握っています。私たちは1994年に、有機結晶の構造制御を行うための新しい分子間相互作用として「ヨウ素結合」を見出し、世界で初めて機能性有機結晶の分子配列制御に応用するとともにその相互作用の原理を解明しました。

 

 

2. 超分子有機伝導体の創成と物性制御

有機伝導体の結晶構造制御にヨウ素結合を応用することで、ユニークな構造と物性を有する「超分子有機伝導体」を構築することが出来ます。今までに、高分子状のネットワーク構造を有する有機(超)伝導体や、六方晶系のリサイクル可能な有機伝導体など、従来の手法では実現困難であった数多くの新結晶の創出に成功しています。

 

 

3. 新しい有機超伝導体の開発

有機伝導体研究の大きな目標の一つに、新しい有機超伝導体の開発が挙げられます。私たちの研究室では、上記の「ヨウ素結合」を活用した含ヨウ素ドナー系で2系統2種類の、CH···O型の水素結合能力を有するセレンリッチな新規ドナー分子DMEDO-TSeFを用いた系で3系統8種類の、計10種類もの新しい有機超伝導体を発見しています。

 

 

4. 新潟県産かん水の性状とヨウ素の製造方法に関する研究

新潟県は、貴重な国産資源であるヨウ素の国内第2位の生産地です。かん水は採取する場所によって様々な成分を含みその性状も異なることが知られています。私たちの研究室では、新潟県産かん水の成分と性状に合わせてヨウ素生産を高効率化するための研究を、産学共同研究として進めています。