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研究室

高分子機能工学研究室

Polymer Functionalization



スタッフ

  • 准教授

    木村 悟隆

    高分子機能工学研究室

研究内容

高分子機能工学研究室では,セルロース等の天然多糖をベースにして,新規機能性材料の開発や既存の材料の改質・改良を行っています.現在は,企業との共同研究を中心に,次のテーマで研究をしています.

1. 綿布の無塩素漂白 −UV LED/H2O2による促進酸化法−

写真で見る綿花は白くて,それを原料にした綿布は最初から真っ白いと多くの人は思っているでしょう.しかし,原綿布はわら半紙の様に黄色みを帯びていて,塩素系漂白剤で100℃以上1時間で漂白しないと白い綿布になりません.塩素系薬剤を使用した綿布を使いたく無いという消費者サイドのニーズと,高温長時間というエネルギーコストを下げたいという生産側のニーズを満たすべく,今世紀に入って綿の無塩素漂白が幾つか試みられてきましたが,未だ本格的な工業生産に至っていません.SDGsの観点からも,環境に優しい新漂白プロセスの開発が求められています.

当研究室では,産官学連携で,綿布の無塩素漂白の研究をしています.過酸化水素水溶液に綿布を浸して紫外線を照射すると室温で塩素漂白並みの白色度に漂白されます.光源にUV LEDを用いることで,処理時間を短縮出来ます.ただし,酸化漂白した綿布をアイロンで加熱すると黄変するのが問題でした.繊維産業に広く用いられているロンガリットの水溶液中で加熱処理することにより,この色戻りを抑えることが出来ました(特許出願中).現在,漂白法の改良を引き続き行っています.

 

 

2. 和紙の雪晒し

豪雪地である長岡市小国地域には,雪を使った和紙作りの伝統技術があります.その一つが,原料の楮皮を雪の上に置いて日光で漂白する雪晒しです.2月〜3月の晴れた日に,雪の上に楮皮を置くと,半日で白くなります.薬品を一切使わないので環境に優しく,かつ利雪というメリットもあります.この雪晒しのメカニズムを分光学的手法を用いて研究しています.

 

3. 多糖/合成高分子ブレンドの分子間相互作用の解明

多糖やその誘導体と合成高分子のブレンドは,生分解や,地球環境保全の観点から近年非常に注目されています.これらブレンド中で,分子間にどのような相互作用があるか,IRやNMRといった分光学的な実験だけでは,その様式の詳細は分かりません.本研究室では,分子動力学シミュレーションや量子化学計算を組み合わせて,相互作用の形態を明らかにしようとしています.