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研究室

発酵科学研究室

HAKKO Science



スタッフ

  • 教授

    小笠原 渉

    発酵科学研究室

  • 准教授

    志田 洋介

    発酵科学研究室

研究内容

私たちが普段利用している微生物は地球上の微生物のわずか1%未満と言われています。つまり、99%以上が未だに単離・培養から利用に至っていない未培養微生物です。未培養微生物から有用な微生物を探索し、その機能を探ることは私たちの社会をより豊かにします。発酵科学研究室では、新しい微生物の探索技術の開発を目指すと共に、セルラーゼをつくる糸状菌(カビ)(Trichoderma reesei / トリコデルマ・リーセイ)、油脂をつくる酵母(Rhodosporidium toruloides / ロドスポリジウム・トルロイデス、Lipomyces starkeyi / リポマイセス・スターキー)および特殊なタンパク質分解システムを持つバクテリア(Pseudoxanthomonas mexicana / シウドザンゾモナス・メキシカーナ)を実験材料に微生物の生き方について理解を深め、それにより得られた知見を新たなバイオテクノロジーとして生かす事で、私たちが過ごしやすく、環境に優しい世界をつくるために日々研究しています。

1. ドロップレットを用いた高効率微生物探索技術の開発

Water-in-Oil ドロップレットとは油中に微小な水滴が分散している系であり、乳製品や化粧品など身の周りに多く存在します。私たちは、そのドロップレットの中で微生物を培養する技術について研究しています。本技術の特徴は微生物1細胞を微小な水滴に閉じ込めることで、100万検体以上を一度に扱うことが可能であるという高効率性にあります。本技術を応用して、環境中から有用微生物を求めて、未培養微生物探索に挑戦します。

 

 

2. 糸状菌 Trichoderma reeseiを利用した木質バイオマスからの有価物生産技術の開発

糸状菌T. reesei は、木質バイオマスを完全分解するために必要な糖質加水分解酵素を全て分泌生産することが可能です。微生物中で最大の酵素分泌能を持ち、そのおよそ80%が糖質加水分解酵素です。この有用な能力を利用して、木質バイオマスからの有用物質生産を目指し、本菌の酵素生産機構について遺伝子制御、形態、基質認識などの観点から解析を行います。得られた知見を木質未利用資源からの有用物質生産に応用し、大きなスケールでの培養試験を重ね、実用化を目指します。

 

T. reesei の電⼦顕微鏡写真(左)と ジャーファーメンター培養の様⼦(右)

3. 油脂生産酵母を用いた脂質生産技術の開発

油脂生産酵母 Lipomyces starkeyi およびRhodosporidium toruloides は、油脂を生産して体内の75%以上を溜め込む微生物です。 R. toruloides は抗酸化作用を持つカロテノイドという色素を生産します。これらの微生物の体内で何が起こり、どのようにして油脂やカロテノイドが作られるのかのメカニズムを、遺伝子工学的手法を用いて研究します。さらに、油脂生産能力の向上や高付加価値油脂の生産性付加を試み、大きなスケールでの培養試験を重ね、産業的利用を目指します。

 

L. starkeyi の電⼦顕微鏡写真(左)と R. toruloides の電⼦顕微鏡写真(右)

4. 細菌特有なタンパク質分解酵素の解析と新規抗菌薬開発

ヒトには存在しない、細菌特有のS46ペプチダーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素があります。私たちが世界で初めて決定したS46ペプチダーゼの立体構造は他の酵素にはないドメイン構造を有しており、ユニークな酵素です。Pseudoxanthomonas mexicana を含むある細菌はこの酵素を用いてタンパク質を分解・資化することで生育します。微生物の生育に重要で、ヒトが持たない本酵素は抗菌薬の標的として有望です。本酵素の酵素学的・構造生物学的解析、さらには微生物を用いた生理学的解析を通して特性を理解し、新規抗菌薬開発を目指します。

 

病原性細菌由来 S46 ペプチダーゼの⽴体構造

 

研究室紹介動画