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修士2年 大川 全さん 環境バイオテクノロジー学会 ポスター賞受賞
修士2年 大川 全さん 環境バイオテクノロジー学会 ポスター賞 受賞
物質生物工学分野・修士2年生の大川 全さん(微生物代謝工学研究室在籍・小山高専出身)が、令和5年6月8日~6月9日に岡山県岡山市、岡山理科大学にて開催された環境バイオテクノロジー学会2023年度大会にて優秀ポスター賞を受賞しました。
環境バイオテクノロジー学会は、文明の発展と共に生じた広範囲な環境問題に対処するために、国内の「環境」と「バイオテクノロジー」に関わる研究者と技術者が結集してつくられた学会です。バイオレメディエーション、バイオプリベンション、バイオモニタリング、バイオマスからのものづくり分野をメイントピックスとしています。バイオテクノロジーの環境問題への適用の基盤となる学理構築及びその学理を応用した環境技術の確立を目的として、個々の研究者・技術者が相互に研究や開発の情報を交換し合うことを趣旨としています。
受賞研究題目
Vanillate O-demethylase遺伝子の転写制御システムに関する新発見
受賞研究内容
植物細胞壁の構成成分であるリグニンは地球上で最も豊富な芳香族資源であり、食料と競合しない未利用バイオマスであることから高分子リグニンの化学的低分子化処理とバクテリアの集約的代謝により、ポリマー原料化合物へ変換、利用する技術が注目されています。私が所属する微生物代謝工学研究室ではバクテリアによるリグニン由来芳香族の代謝システムを明らかにし、得られた知見を利用してリグニンからのポリマー原料の発酵生産系の開発を進めています。本研究室で研究を進めているPseudomonas sp. NGC7株は、主要なリグニン由来芳香族化合物であるバニリン酸、シリンガ酸、及び4-ヒドロキシ安息香酸を単一炭素源として生育できるバクテリアです。NGC7株において、バニリン酸とシリンガ酸の脱メチル化にはVanA4B4とVanA1B1が関与することが明らかにされています。私はこれまでに、これらvanAB遺伝子の転写制御システムを明らかにすることを目的として研究に取り組み、vanA4B4とvanA1B1の転写がそれぞれGntR型の制御タンパクであるVanRとVanR2によって制御されることを明らかにしました。これまでの実験結果からvanA4B4の転写制御にはVanRに加えて未同定の制御因子が関与することが示唆されました。多数の候補遺伝子について遺伝子破壊株を作製し制御への関与について解析を続けた結果、IclR型制御タンパクであるPcaRがvanA4B4の転写を制御していることを明らかにしました。本発見は、20年以上前に解明されたバニリン酸分解酵素遺伝子の転写制御の知見を塗り替えるものであり、この成果の価値が認められてポスター賞の受賞に至りました。
関連リンク
環境バイオテクノロジー学会のページ
微生物代謝工学研究室(政井英司 教授、上村直史 准教授)紹介ページ
微生物代謝工学研究室(政井英司 教授、上村直史 准教授)ホームページ