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学生・教職員の受賞
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修士2年 川極 幸村さん 日本農芸化学会関東支部大会 優秀発表賞 受賞
修士2年 川極 幸村さん 日本農芸化学会 関東支部2023年度大会 学生優秀発表賞 受賞
物質生物工学分野・修士2年の川極 幸村さん(鈴鹿高専出身、笠井大輔 准教授 研究室在籍)が、日本農芸化学会 関東支部2023年度大会において学生優秀発表賞を受賞しました。
日本農芸化学会は、農芸化学分野の基礎及び応用研究の進歩を図り、それを通じて科学、技術、文化の発展に寄与することにより人類の福祉の向上に資することを目的として、1924年に設立された学術団体です。農芸化学分野の研究者や技術者の交流と情報交換の場として、重要な役割を果たしており、年次大会を開催しています。また、北海道、東北、関東、中部、関西、中四国、西日本の7支部があり、それぞれで年次大会を開催しています。
受賞研究題目
天然ゴム資化性放線菌のポリ(cis-1,4-イソプレン)代謝に関与するアルデヒド脱水素酵素の同定
受賞研究内容
ポリ(cis-1,4-イソプレン)を主成分とする高分子である天然ゴムは、様々な工業材料として利用されています。しかし、天然ゴム製品は焼却や埋立による廃棄物処理されるため環境負荷が懸念され、近年では環境負荷を抑えた代替処理技術の開発が求められています。私が所属する環境微生物工学研究室では天然ゴム分解が可能な土壌細菌におけるポリ(cis-1,4-イソプレン)代謝経路を解明し、これを応用して微生物の酵素機能を用いた天然ゴム廃棄物処理法の開発を目指しています。本研究室にて単離された天然ゴム資化性放線菌であるRhodococcus sp. RDE2株は、オキシゲナーゼ (Lcp)によりポリ(cis-1,4-イソプレン)をオリゴイソプレンアルデヒドへと低分子化し代謝することが明らかにされています。私はRDE2株のポリ(cis-1,4-イソプレン)代謝経路の全容解明を目指して、オリゴイソプレンアルデヒド分解に関与する酵素の特定及び機能解析を行いました。RDE2株の細胞抽出液とオリゴイソプレンアルデヒドを反応させた結果、オリゴイソプレンアルデヒドの分解にはNAD+またはNADP+を補酵素するアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が関与すると考えられました。RDE2株のゲノム解析と分子系統学的解析から6個のALDH遺伝子が推定されました。続けてこれら遺伝子の転写誘導性と破壊株の機能を明らかにするとともに、各遺伝子産物のALDH活性を評価した結果、RDE2株のオリゴイソプレンアルデヒド分解にはRDE2_16440及びRDE2_35730, RDE2_42360の3遺伝子が関与していることが示唆されました。本研究から、未解明であったRDE2株でのポリ(cis-1,4-イソプレン)代謝物の分解に複数のALDH遺伝子が関与することが明らかとなりました。
関連リンク
日本農芸化学会 関東支部2023年度大会のページ
環境微生物工学研究室(笠井大輔 准教授)紹介ページ
環境微生物工学研究室(笠井大輔 准教授)ホームページ