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【プレスリリース】蛋白質アクチンの高分解能構造とATP加水分解反応メカニズムの解明 藤原郁子准教授

2022.10.27


【プレスリリース】蛋白質アクチンの高分解能構造とATP加水分解反応メカニズムの解明 藤原郁子准教授

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院理学研究科の前田 雄一郎 特 任教授(研究当時。現在は、名古屋大学大学院情報学研究科客員教授)、国立大学法 人広島大学大学院先進理工系科学研究科の兼松 佑典 助教、および国立大学法人岡 山大学異分野基礎科学研究所の武田 修一 特任助教を中心とした研究チームは、蛋 白質 F 型アクチンの 1.15 Å 分解能の結晶構造を得て、それに基づき量子化学計算 法である QM/MM 計算法を用いて、ATP 加水分解反応のメカニズムを解明しまし た。ATP は地球上の生命のエネルギー通貨です。ATP の化学エネルギーは、ATP ア ーゼ蛋白質注 2)と呼ばれる多くの蛋白質によって、力学的仕事や情報に変換され、 種々の細胞機能の発現に利用されますが、蛋白質分子の構造情報の不足によりその メカニズムはよくわかっていませんでした。本研究では、F 型アクチン注 3)の構造を 反応の始状態と終状態の双方で、他のいかなる ATP アーゼ蛋白質で得られていた 構造情報より高精細な 1.15 Å という高分解能で得て、この問題を解決しました。 解明された ATP 加水分解反応メカニズムは、これまで提案されていた反応モデル と基本的に一致し、地球上の ATP アーゼ蛋白質が共通のメカニズムで働くことを 強く示唆します。 
今回解明されたのは ATP アーゼ過程注 4)全体の前半部分(加水分解反応過程)の みであり、後半部分(Pi 解離過程)は、未解明です。今後は Pi 解離過程の研究が進 むことが期待されます。 
本研究成果は、2022 年 10 月 18 日付アメリカ科学雑誌「米国科学アカデミー紀 要(PNAS)」のオンライン速報版に掲載されました。
 
詳細は以下URLのPDFファイルをご覧ください。
https://msb.nagaokaut.ac.jp/wp-content/uploads/2022/10/221020.pdf
 

関連リンク

米国科学アカデミー紀要(PNAS)の論文掲載ページ
生体運動研究室(本多 元 教授、藤原 郁子 准教授)紹介ページ
生体運動研究室(本多 元 教授、藤原 郁子 准教授)ホームページ